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辞書を読む/新明解国語辞典 その1


私の手元にある約20年前の国語辞典は、三段組み頁にチェックマークが入っていたり、あるいは6桁の数字が書き込まれています(例えば、960919)。これは何を意味するかといえば、その段(頁)は全ての言葉に目を通したという印(日付)。辞書を一冊の本とみなして、全頁読破にチャレンジした時の名残です。

片手で持てる国語辞典だと二千頁もないので、一日一頁読めば、数年で読破できる理屈。語彙を増やそうという野心や義務感をあまり持たないことが、続けるコツでしょうか(^^)

…とエラそうなことを書きましたが、結局は中途で挫折して、そのままになっています(苦笑)。それはさておき、辞書を読むと、いろいろと(楽しい)発見がありますね。特に、三省堂の新明解国語辞典は、そのユニークな語義で多くの人を感動させて?くれます(こちらこちらを参照)。もちろん、他の辞書でも十分楽しめます(続く)

佐藤初女さんのことば/ゆうゆうBOOKS 『ことば薬』


主婦の友社からこの夏に創刊された「ゆうゆうBOOKS」シリーズ。「ゆうゆう」という女性向け雑誌の取材記事をベースにしており、読者層も50代以上の女性を想定しているようですが、もちろん、若い人(男性)が読んでもいいわけです(^^)。で、先日購入したのが「ことば薬」(右写真)。ココロの気付け薬になりそうな、著名人のことばを集めた本です。

たとえば、佐藤初女(はつめ)さんのことばは「食べ物」「料理」の大切さを教えてくれます。

17歳のときに肺浸潤を患い、その後の長い年月、病床に臥せっていました。ある日、鯛の潮汁を心の底から「おいしい!」と感じた瞬間に、体に力がみなぎるのを感じました。そのときです、食べ物の力を確信したのは。(中略) すべての食材には命が宿っている。食べることは、その命をいただくことです。料理とは「命の移しかえ」の作業ですから、心を込めてていねいに行います。そんな料理を食べた人の細胞は、見る見る動き出すんです(主婦の友社『ことば薬』P.30)

料理は「命の移しかえ」。だから、感謝を込めて「いただきます」でした(-人-) by dan

ジューンブライド/「祝婚歌」ふたたび


6月で思い出すのがジューンブライド。秋に新学年が始まる欧米の学校では、卒業式は春(5~6月)にあります。昔は、女性が学校を卒業するのを待って即結婚という(せっかちな?)ケースも少なからずあり、それがジューンブライド(6月の花嫁)=女性にとっての幸福、という意味を持ちえたわけです。ということで、今日は結婚にちなんだ話題を…。

以前、吉野弘さんの「祝婚歌」という詩をご紹介したことがあります(→2012/05/05 参照)。先日、古本屋で見つけたのが、この「祝婚歌」を収めた「二人が睦まじくいるためには」(吉野弘/童話屋)。百均コーナーにあったので(帯が少々いたんでいる程度でほぼ新本)、速攻で買い求めました(^^;;。この本には、吉野弘さんの詩に加えて、茨木のり子さんの「祝婚歌」に関する解説文も掲載されていて、これがなかなか面白いのです。

 電話でのおしゃべりの時、聞いたところによると、酒田で姪御さんが結婚なさる時、出席できなかった叔父として、実際にお祝いに贈られた詩であるという。
 その日の列席者に大きな感銘を与えたらしく、そのなかの誰かが合唱曲に作ってしまったり、またラジオでも朗読されたらしくて、活字になる前に、口コミで人々の間に拡まっていったらしい。
 おかしかったのは、離婚調停にたずさわる女性弁護士が、この詩を愛し、最終チェックとして両人に見せ翻意を促すのに使っているという話だった。翻然悟るところがあれば、詩もまた現実的効用を持つわけなのだが。(以下略)

 また、この詩の独語訳が、ドイツで行われた、ある日本人女性の結婚式で朗読され、神父を含むドイツ人列席者に感動を与えたというエピソードも書かれています。結婚式のスピーチネタで困った場合、これらの話が使えるかも…(^_-) by dan

歩歩是道場/月刊「致知」の話


致知」7月号のテーマは「歩歩是道場」(ほほこれどうじょう)。禅の言葉で、日常の一挙手一投足、そのすべてが自己を鍛える場だ、という意味だそうです。表紙は、篠田桃紅氏(1913年生まれ。100歳)。今のお顔や佇まいが、彼女の生き方・考え方等すべてを物語っている気がします。合掌(-人-)

武士的には「常在戦場」という言葉がありますね(→常在戦場の精神の長岡藩 参照)。そういえば、浜学園の標語もこの言葉でした(^^)

右上写真、桃紅氏が墨を擦っている硯(すずり)に注目下さい(写真クリックで拡大)。実はこの方、水墨抽象画等で知られる「美術家」(書道家ではありません)。なので、このような巨大硯を愛用されているわけです。プロフィール・作品等は、岐阜現代美術館のサイトで御確認頂けます(→こちら

篠田桃紅氏のインタビュー記事を読むと、水墨という素材がアメリカの風土に合わず(滲まずにさっと乾くので表現の幅が浅くなる)、逆に油絵は日本では駄目(乾くのが遅いので色が冴えない)という話が出てきます。風土の違いが芸術表現や国民気質にも影響している…。なるほど。勉強になります(^^) by dan

「夏への扉」/Kindleの話


昔、海外SFを読もうと思ったら、まず、ハヤカワや創元社の文庫目録を確認したものです。今でも、名作/傑作ライブリーとしての地位は不動でしょう。ところが、久しぶりに当時の作品を読み直そうと思っても、文庫本(特にハヤカワは文字が小さい)は、老眼のdanにはきついので、海外SF作品とはもう縁がないかも…と半ばあきらめていました(^^;;

と、そこへ現れた救世主が電子書籍です。昨年8月より「ハヤカワSF・ミステリebookセレクション」として、古典・話題作が順次電子書籍化されているのですが、この5月に待望の「夏への扉」(ハインライン)が登場\(^o^)/早速ダウンロードしました(ちなみに私はKindle派です)

おかげで、目に優しい大活字で読むことができました(^^)。1950年代に描かれた、1970年や2000年のレトロフューチャーがいい味(と考えれば、翻訳の古さも気にならない)。読後感のさわやかなタイムトラベルSFで、猫好きな方の必読書といってもよいでしょう。お薦めです(^_-) by dan

偶然ですが、「夏への扉」というタイトルが今の季節向き。ホントは冬の話なんですけどね(^^;;

「本気で生きよう!なにかが変わる」/手話の話 その9


ある本(「本調子 ~強運の持ち主になる読書道~」総合法令)を読んでいて、下のような記述に出くわしました。

店内をふっと見ると、立ち読みしているうら若き女性の背中がわなわなと震えているんです。どうしたんだろうっと思ってそのお客さんにおそるおそる近づいてみた。目が真っ赤だ。涙がうっすらにじんでいる。手に持っている本のタイトルを見てみると…(P30~31)

それが、標題の「本気で生きよう!なにかが変わる」(大和書房)です。早速、amazonで入手(3月に文庫本も出ています)。本の帯には”電車の中で読むのはおススメしません 号泣必至の感動本”と印刷されており、「ホンマかいな?」と半信半疑で読み始めたところ、最初のエピソードでわなわな…^^;;。マジで、電車の中で読まなくてよかったです(苦笑)

著者は手話通訳の世界で有名な丸山浩路さん(→2012/02/19 も参照)ですが、手話を知らなくても十分すぎるほど感動できます。号泣度の高い最初のエピソードをクリア?すれば、残りは電車の中で読んでも、多分、大丈夫(^^)。お勧めです。 by dan

月刊「致知」を読んでいます


この春から「致知」という月刊誌を定期購読しています。最新号の表紙(右写真)は、日本マクドナルドの原田社長。中高年(経営者?)向けのカタいイメージですが、同じ号には、塩麹ブームの火付け役と言われる糀屋本店の浅利妙峰さんのインタビュー記事(下写真)が載っていたり、なかなかバラエティに富む内容。どなたでも楽しめる(為になる)内容になっています。

 ちなみに、それまでdanが定期購読していた唯一の雑誌が「ビッグコミックオリジナル」(マンガ誌)。落差がありすぎて、笑えますね~(^^;;

「致知」の記事は、(和魂洋才の)和魂をベースに、人間学や人間力向上に関する内容が中心。古典の素養が身につき、人格が磨かれます。私が親だったら、家族全員に読むことを義務付けたいぐらいです^^。danが中高生時代にこの雑誌の感化を受けていたら、もっと早く「大人」になれたのでは…と思います。今とは全く違った人生を歩んでいたかもしれません(^^;; by dan

「ザ・バースデー 365の物語」


自分の誕生日は、その人にとっての記念日。その特別な日を好きになってもらおうと、1月1日から12月31日まで、1日に見開き2ページを割いて、その日に生まれた人物のエピソード他を紹介したのが、ひすいこたろう&藤沢あゆみの「ザ・バースデー 365の物語」(日本実業出版社、2010年1月刊)。情報量が多いので2冊に分冊、合計800ページ。ひすいこたろうの本としては破格のボリュームです。

amazonのカスタマーレビューが意外に低調なのは、読み切った人が少ないためでしょう(^^;;。しかし、辞書的に拾い読みで終わらせるには、もったいない。

例えば、7月6日(danの誕生日)のページにあるのは、ダライ・ラマ14世のもとにやって来た末期癌患者とのやりとり。「余命数か月です…」と救いを求める男性に対して、ダライ・ラマは「だから、何?カカカカカ…」と大笑いしながら、彼の肩をバシバシ叩いたとか(!)。彼もそれで吹っ切れたのか、さっぱりした顔で帰途に就いたそうです(^o^)。また、J.レノンとP.マッカートニーが初めて出会ったのが、1957年のこの日。当時16歳のレノンを見て、マッカートニーにはピンと来るものがあったそうです。

…とまぁ、こんな感じで、1年366日、その日に関連したエピソードがてんこ盛り。ネタ本としても手元に置いておきたい1冊/2冊です(^_-) by dan