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薬師寺・まほろば塾(2014年上半期)


薬師寺では、毎月、「まほろば塾」という講演会を開催しています(原則、毎月第3日曜日)。2014年上半期の概要が先日発表されましたので、ご紹介いたします。

2014/04/20(日) (「最勝会」)
2014/05/17(土) 講師: 養老孟司、池坊由紀、竹下景子、山田法胤
2014/06/15(日) 講師: 千 玄室、竹本住大夫、細川佳代子、山田法胤
2014/07/20(日) 講師: 中桐万里子、山田法胤
2014/08/17(日) 講師: 松下 功、山田法胤
2014/09/21(日) 講師: デービット・アトキンソン、山田法胤

5/17 は「薬師寺21 世紀まほろば塾開塾10周年」を記念し、養老孟司、池坊由紀、竹下景子の各氏による特別講演&鼎談が行われるそうです。申込締切は4/17。詳しくは上のリンク先の詳細ページにてご確認下さい(^_-) by dan

雪の中の薬師寺


先日のバレンタインデーは大雪でした。奈良市内は朝の段階で12cmの積雪(右写真クリックで拡大。最終的に15cm)。24年ぶりの大雪でした。なので、午後早々に終業になった会社もありますし、当日が最終日だったなら瑠璃絵も中止になりました(残念)

今回の「○年ぶりの大雪」という報道を見て思ったのは、昔は、この程度の雪は都市圏でも珍しくなかったということです。当時、大阪市内に住んでいましたが、近くの公園や原っぱで雪合戦やスキー、そり遊びをした記憶があります(^^)

さて、今日ご紹介するのは雪化粧した薬師寺です(→唐招提寺は2014/02/16参照)。中央は南門から仰ぐ西塔。手前の建造物は中門です(写真クリックで拡大。以下同じ)。左は写経道場前の梅並木。右は2/14現在の開花状況(つぼみの様子)。見頃になるまで、もう少し時間がかかりそうですね(^^) by dan

薬師寺・唐招提寺の年末年始行事(2013年~2014年)


いよいよ、今年も終わりですね。皆さん、年賀状書きましたか?大掃除は終わりましたか?(danはこれからです^^;;)。さて、年末年始、あす香はお休みをいただきますが、西ノ京エリア(薬師寺・唐招提寺)の年末年始行事予定をまとめてみました。なお、大晦日から元旦、近鉄は終日運行です(時刻表はこちら

薬師寺 (予定表クリックで詳細ページへ)

※除夜の鐘所作について
午後11時から整理券配布(当日写経した人を優先)
午後11時30分から5人1組で。焼き餅のふるまいあり。

唐招提寺 (予定表クリックで詳細ページへ)

※除夜の鐘所作について
午後11時から108枚の番号札を先着順に配布。
午後11時40分から。千手観音の御守札を授与。

小休止 ~薬師寺の鬼瓦(阿吽)~


薬師寺から唐招提寺方向へ歩いていて見つけたのが、下の鬼瓦です。薬師寺の敷地内にあるものの、歴史的価値はそれほどなさそうな感じ。対で阿吽(あうん)の関係になっています。逆パターンも結構あるのですが、阿吽の位置関係は、普通、阿形が右、吽形が左だそうで、この鬼瓦もそうでした(写真各々クリックで拡大)

ちなみに、は口を開いて最初に出す音、は口を閉じて出す最後の音です。阿吽という言葉は、宇宙の始まりと終わり、すなわち「全て」「永遠」と同義にも使われます(Wikipedia>阿吽 参照)。日本語の五十音(あ~ん)がまさにそう。ギリシャ語だと、アルファ(Α)とオメガ(Ω)。聖書にも「わたしはアルファでありオメガである」という有名な一節があります(ヨハネの黙示録)。言語や文化が違っても、考え方が同じなのが面白いですね(^^) by dan

実はこの夏に薬師寺で鬼瓦特別展が開かれていました。見に行けばよかった~、と思っても後の祭り(^^;;

薬師寺「東塔 水煙 降臨展」の定期法話会


現在、薬師寺で開催されている「東塔 水煙 降臨展」は今月末まで。今回の展示は61年ぶりだそうで、この機会を逃すと次回はいつ間近で見ることができるか分かりません(一生ないかも?)。なので、まだご覧になっていない方は、この機会に是非どうぞ(→展示の様子は 2013/10/10参照。写真撮影OKというのがイイですね)

ところで、なぜ「水煙」というのでしょうか?水煙の形は”みずけむり”というよりも炎を思わせます。実際、「火炎」の透かし彫りなんだとか。ただ、木造建築物にとって縁起が良くないので、漢字も代えて、火炎(かえん)→水煙(すいえん)になったそうです(下写真クリックで拡大)

三重や五重の多層塔は日本各地にありますが、飛天が舞い降りる意匠の水煙は薬師寺だけだそうです。なんだか、ロマンをかきたてられる話ですね^^(→2013/10/11 参照)。期間中の土・日・祝日には、薬師寺伽藍内で、水煙にちなむ定期法話会が行われるので、土日祝に行かれる方は、それを織り込んで予定を立てることをお薦めします。水煙にちなんだ30分の法話も、この機会を逃すと一生聴けないかもしれませんよ(^_-) (各日3回。→詳しくはこちら) by dan

フェイディアスのエピソード/薬師寺 東塔水煙 余話


薬師寺東塔の水煙は現代に通じるポップなデザインです(右写真クリックで拡大)。地上34mの高さにあり、普段、間近で見ることはありません。従って、制作者はいくらでも手抜きできそうですが、そういうことはしなかった。これで思い出すのが、ギリシャの彫刻家フェイディアスのエピソード。次のような話です。

紀元前440年頃の話ですが、彼は、2400年後の今日にいたるもアテネのパンテオンの屋根に建っている彫刻群の制作を依頼されました。今日にいたるも、西洋最高の彫刻とされているものです。世界中で最高の作品として評価されています。しかし作品の完成後、フェイディアスの請求書に対し、アテネの会計官は、全額の支払いを拒否しました。

会計官は、「彫刻はみな、アテネで一番高い丘に建っているパンテオンの屋根にある。背中の部分は誰にも見えない。ところがあなたは、その誰も見ない部分まで彫って、その分まで請求している」と言いました。これに対するフェイディアスの答えが、「それは間違っている。神々が見ている」だったそうです。

(中略) 今日にいたるも、もちろん私は、そのような域には到底達していません。むしろ、私は、神々が気づかないでいてほしいことをたくさんしてきました。しかし私は、神々しか見ていなくとも、完全を求めていかなければならないということを、そのとき以来、胆に銘じてきています。
P.F.ドラッカー・中内功「創生の時」(1995年)P.33~34。改行等一部変更。写真は復元された西側破風。こちらよりお借りしました。クリックで拡大。)

日本には(かつて)「お天道様が見ている」という言い方がありました。「天知る、地知る、我知る、人知る」という故事も。時々思い返したい言葉ですね(^^) by dan

PS 海洋堂制作の水煙レプリカが会場内限定で販売されています。売り切れ必至?入手はお早めに…。

薬師寺 東塔水煙 降臨展


今、薬師寺では、解体修理中の東塔の「水煙 降臨展」が開催されています(2013/09/16~11/30。右写真クリックで拡大)。水煙とは、塔の屋根の上の「相輪」という部分の上部にある、透かし彫りのような装飾です。塔を災いから守る為の、祈りが込められているということです。

展示場の中は撮影OK、珍しいことです。平安時代(凄い!)や江戸時代に造られた仏像も、何体か展示されていました。仏像の前では、帽子と手袋を取り、思わず手を合わせていました(写真下左が四天王像・持国天、下右が同・増長天。ともに平安時代。各々クリックで拡大)

相輪(水煙)は勿論手で触れることは出来ませんが、間近で見ることが出来て、とても良かったです(下写真中左が相輪・水煙部分、中右が同・九輪部分)。解体修理中だからこそ展示が可能であり、良い機会をいただきました。皆さんも是非この機会に(11月30日まで)ご覧になられることを、お勧めします(^_-) by ichi

高田好胤の揮毫/薬師寺でお写経 その2


その1より続く) 「薬師寺でお写経」の続編=番外編です(右写真は写経道場入り口の案内板。クリックで拡大)

写経道場の御手洗をお借りした際、廊下で見つけたのが右下写真。初め、茶色のシミかな?と思ったら、揮毫をシールのように?鏡の上に貼り付けたものでした。内容は「永遠なるものを求めて永遠に努力する人を菩薩と言ふ」。薬師寺第124世管主高田好胤が好んで書いた文章です(写真クリックで拡大)。これは、経営でいうところのゴーイングコンサーンそのもの。Wikipedia>高田好胤 には

当時の薬師寺は荒廃し、仮金堂も屋根に穴が空くような状態だった。▼1949年、副住職に就任すると、修学旅行の生徒達への法話に力を入れた。そのユーモアたっぷりで分かりやすい法話は人気を呼んだ。高田の法話を聞いた生徒は500万人以上にものぼるという。▼ちなみに、修学旅行に訪れた女生徒と交際を続け、1954年に結婚。薬師寺の歴史ではじめての妻帯僧となった(中略) ▼1967年、管主に就任すると金堂の再建を志し、ついで西塔、中門、回廊などを次々と再建した。

という記述があり、高田好胤という人物がいろいろな点で型破りだったことがわかります(左写真は薬師寺の公式サイトよりお借りしました。クリックで拡大)。シュンペーター的にいえば「創造的破壊」の行動の人。

そもそも、写経勧進を始めたのも好胤ですし、数十年前まで、ないないづくしだった薬師寺を今の形にした好胤の功績は大きいと思います。どこで何をするにせよ、起業家/企業家精神が大事なんだと再認識した次第です(^^) by dan