ichi&danの徒然日記 〜 玄米工房あす香 〜
あすかの夜のお料理で高い人気を誇っているのが、蓮根豆腐。蓮根が美味しい秋・冬の期間限定のお料理です。
すりおろした蓮根の汁を絞り、葛粉を入れて火にかけて練り上げていきます。かなり陽性なお料理と言えるでしょう。その後型に流し入れ、冷やし固めたものを切り分け、揚げ出し豆腐風にして召し上がっていただきます。すりおろす蓮根の量は10〜12、13節!(なんせ汁だけを使うのですから。汁を絞った残りの身の方も、勿論料理に使います。)あの硬い蓮根をこれだけすりおろすのは、半端じゃありません。バイトさんと2人で30分近くかかります。「暑くなって来たね」と途中で笑いながら、結構必死ですっています。
蓮根の汁に葛粉を溶かし、火にかけて練り上げていくのですが、その「葛粉の量」というのが、実は全くの『勘』に頼っています。佐賀で師みのりさんにお世話になっていた時に、みのりさんに教えていただいたのも決まった量はありませんでした。最初の何回かは葛粉の量を見てもらっていたのですが、そのうち「もう自分でできるやろ」と言われて、「こんなもんかな?」と思いつつ、適当に入れていたのでした。そして、その「適当」で、いつもちゃんと出来ていたのでした。
大阪に戻って店を開き、再び蓮根豆腐を作るようになりました。葛の量はやはり勘によって適当にしていたのですが、毎回微妙に堅さが違ってきます。葛の量を何度か測って、その上で量を決めて入れて作ってみました。これでいつも安定した蓮根豆腐が出来る!と信じていたのですが、ところがどっこい…!その時作った蓮根豆腐は固まらなかったのです!(^^;; 蓮根をすりおろした汁をタッパーに入れて置いておくと、水分が上に上がり、2層に分かれます。この水分量がその時その時で変わってくるので、へたに葛の量を決めて作ると、失敗することがあるのかもしれません。
それからは、また自分の『勘』で葛粉の量を決めています。そしてそれ以後、失敗することなく、お客様にお出しでき、喜んでいただいています。料理の奥深さを実感した出来事でした。