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フェイディアスのエピソード/薬師寺 東塔水煙 余話


薬師寺東塔の水煙は現代に通じるポップなデザインです(右写真クリックで拡大)。地上34mの高さにあり、普段、間近で見ることはありません。従って、制作者はいくらでも手抜きできそうですが、そういうことはしなかった。これで思い出すのが、ギリシャの彫刻家フェイディアスのエピソード。次のような話です。

紀元前440年頃の話ですが、彼は、2400年後の今日にいたるもアテネのパンテオンの屋根に建っている彫刻群の制作を依頼されました。今日にいたるも、西洋最高の彫刻とされているものです。世界中で最高の作品として評価されています。しかし作品の完成後、フェイディアスの請求書に対し、アテネの会計官は、全額の支払いを拒否しました。

会計官は、「彫刻はみな、アテネで一番高い丘に建っているパンテオンの屋根にある。背中の部分は誰にも見えない。ところがあなたは、その誰も見ない部分まで彫って、その分まで請求している」と言いました。これに対するフェイディアスの答えが、「それは間違っている。神々が見ている」だったそうです。

(中略) 今日にいたるも、もちろん私は、そのような域には到底達していません。むしろ、私は、神々が気づかないでいてほしいことをたくさんしてきました。しかし私は、神々しか見ていなくとも、完全を求めていかなければならないということを、そのとき以来、胆に銘じてきています。
P.F.ドラッカー・中内功「創生の時」(1995年)P.33~34。改行等一部変更。写真は復元された西側破風。こちらよりお借りしました。クリックで拡大。)

日本には(かつて)「お天道様が見ている」という言い方がありました。「天知る、地知る、我知る、人知る」という故事も。時々思い返したい言葉ですね(^^) by dan

PS 海洋堂制作の水煙レプリカが会場内限定で販売されています。売り切れ必至?入手はお早めに…。

薬師寺 東塔水煙 降臨展


今、薬師寺では、解体修理中の東塔の「水煙 降臨展」が開催されています(2013/09/16~11/30。右写真クリックで拡大)。水煙とは、塔の屋根の上の「相輪」という部分の上部にある、透かし彫りのような装飾です。塔を災いから守る為の、祈りが込められているということです。

展示場の中は撮影OK、珍しいことです。平安時代(凄い!)や江戸時代に造られた仏像も、何体か展示されていました。仏像の前では、帽子と手袋を取り、思わず手を合わせていました(写真下左が四天王像・持国天、下右が同・増長天。ともに平安時代。各々クリックで拡大)

相輪(水煙)は勿論手で触れることは出来ませんが、間近で見ることが出来て、とても良かったです(下写真中左が相輪・水煙部分、中右が同・九輪部分)。解体修理中だからこそ展示が可能であり、良い機会をいただきました。皆さんも是非この機会に(11月30日まで)ご覧になられることを、お勧めします(^_-) by ichi

テラコッタドール


右は、奈良市立伏見中学校で見かけた植木鉢製の人形(写真クリックで拡大。以下同様)。素焼き(製品)のことをテラコッタ(terra cotta)というので、このように植木鉢をブロックのように組み合わせて作られた人形は、一般にテラコッタドール(テラドール)と呼ばれるようです。

以前ご紹介したかわいい植木鉢(2012/11/22参照)もテラコッタドールの一種になります(^^)

植木鉢をレゴよろしく大量に使えば、巨大なものができます。下写真の左2枚は河内長野市の「花の文化園」に展示されている日本最大のテラコッタドール。見た瞬間、「天空の城ラピュタ」で庭番をしていたロボット兵(下右)を思い出しました(^^)。そう言えば、一昨日、宮崎駿監督の長編映画製作引退が発表されましたが、ラピュタはイマジネーションにあふれていて(何度観ても)ワクワクしますね。ジブリアニメの中でマイベストスリーに入るお気に入り。素晴らしい作品を長年つくってこられた宮崎駿氏に敬意と感謝! by dan

 

サンエトワールの海ぱん/キャラパンの話


JR天満駅のガード下にサンエトワールというパン屋さんがあります。8月の新商品が「海ぱん」(”うみぱん”と読みます)。カメ、ラッコ、エイ、クジラ、かくれクマノミ等の形をした可愛らしい菓子パンです。一つ160円。5個まとめて買うと「海ぱんボックス」もついてきます(下写真、各々クリックで拡大)。夏休みのお子さんやお孫さんへのお菓子に喜ばれそうです(^^)

ただし、人気商品なので早く売り切れます。夕方、会社帰りにお父さんが買うというのは難しいかもしれません。予約とかできればいいのですが。

この海パンは、いわゆる「キャラパン」というジャンルの商品になります。著作権問題はさておき、マンガ/アニメのキャラクターそっくりの作品/商品もあったりして、その出来栄えに感心します(→例えばこちら)。ホント、日本人って器用ですね(^_-) by dan

PS 「キャラ弁」というのもありました(2012/09/10参照)。カラフルな食材が使えるので、キャラパン以上にすごいことになってます(^o^)。ギャラリーはこちら

歩歩是道場/月刊「致知」の話


致知」7月号のテーマは「歩歩是道場」(ほほこれどうじょう)。禅の言葉で、日常の一挙手一投足、そのすべてが自己を鍛える場だ、という意味だそうです。表紙は、篠田桃紅氏(1913年生まれ。100歳)。今のお顔や佇まいが、彼女の生き方・考え方等すべてを物語っている気がします。合掌(-人-)

武士的には「常在戦場」という言葉がありますね(→常在戦場の精神の長岡藩 参照)。そういえば、浜学園の標語もこの言葉でした(^^)

右上写真、桃紅氏が墨を擦っている硯(すずり)に注目下さい(写真クリックで拡大)。実はこの方、水墨抽象画等で知られる「美術家」(書道家ではありません)。なので、このような巨大硯を愛用されているわけです。プロフィール・作品等は、岐阜現代美術館のサイトで御確認頂けます(→こちら

篠田桃紅氏のインタビュー記事を読むと、水墨という素材がアメリカの風土に合わず(滲まずにさっと乾くので表現の幅が浅くなる)、逆に油絵は日本では駄目(乾くのが遅いので色が冴えない)という話が出てきます。風土の違いが芸術表現や国民気質にも影響している…。なるほど。勉強になります(^^) by dan

タマゴ頭の男/ルネ・マグリットの絵?!


一昨日の夕刊に面白い記事が載っていました(日経新聞夕刊2013/04/25)。世界最大の鳥類とされるエピオルニス(絶滅種)の卵の化石がオークションにかけられ、約1000万円で落札されたとか。狙った構図なのかどうかわかりませんが、記事の写真(クリックで拡大)は、顔とタマゴが綺麗に重なり、頭=タマゴのタマゴ星人状態。「不思議の国のアリス」に出てくるハンプティ・ダンプティのようでもあり、ルネ・マグリットの絵のようでもあります(^^)

【参考】 Giant egg from extinct elephant bird up for auction at Christie’s

ちなみに、左がハンプティ・ダンプティ。頭がタマゴというより、タマゴに手足が生えたような形です。これを見ると、私は井原西鶴の「人間は欲に手足の付いたるものぞかし」という言葉を思い出します。

試しに、新聞記事の写真をマグリットの作品と一緒に並べてみました。左端が「山高帽子の男」、右端が「ピレネーの城」(画像クリックで拡大)。強烈な印象を放つ2枚の絵に挟まれても、全く違和感がありません。まさに、マグリット・ワールド!!(^^) by dan

変わり種のドアハンドル


右は、先日、街中で見かけた某事務所のドア(写真クリックで拡大)。赤いドアと少し変わったハンドルの組み合わせがお洒落です。スマートさと実用性のバランスを取ると、こんな感じになるでしょうか。一戸建てであっても、そう簡単に玄関ドアの交換はできませんが、室内のドアハンドル/レバーだけであれば、着せ替え感覚で楽しむことも可能。ということで、面白いデザインのドアハンドルを2つご紹介します(^^)

まずは、キュート系。下左はわんにゃんレバーハンドルという商品。獣医やペット美容院、あるいは子供部屋のドアに良さげです。誰もが知っているドアレバーですが、ここから犬や猫の尻尾を連想し、このような商品を世に送り出した人はエライ!尊敬します(^^)。続いて、インパクト系。右下は、なんと、ピストル型のドアノブ(bang bang handle)。シュールなアート作品といった趣き。メチャクチャ使いづらそうですし、リアルに作られているので、レバーを引いたら実弾が出そうでコワいですね(^^;; by dan

パープレクサス/PERPLEXUS


先日書いた針金迷路の現代版が、パープレクサス/PERPLEXUS という知育玩具です(右写真、クリックで拡大)。StartからGoalまで1~100の番号順に、球体の中の立体迷路をボールを転がしていくのですが、少し気を抜くとボールが落ちてしまうので、針金迷路以上に微妙なコントロールと集中力が要求されます。コースは非常に凝ったレイアウトになっていて、これを設計した人は凄いと思いました。1,800円とお値段もお手頃。Amazonで購入できます(→こちら。上級編=EPIC もあります)

子供向け商品と侮ってはいけません。親が本気になる=ハマっている事例多数(^^)。色使いもカラフルなので、「遊べるオブジェ」として美容室等の待合コーナーに置くのも面白いでしょう(実は、私の仕事部屋にも地球儀代わりに?飾ってあったりします)。遊び方等は下のYouTubeでご確認下さい(^_-) by dan